読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる








dip 「HOWL」 「OWL」

D

HOWL

HOWL

3年9ヶ月ぶりとなる11作目。


活動休止期間を挟み、ヤマジカズヒデ以外のメンバーが復帰して体制が落ち着いたとのこと。まず今作はラウドでアグレッシブなロックンロールという、 dip が従来から持ち合わせていた魅力の一断面にフォーカスを当てた内容。オルタナティブ由来のささくれ立った荒々しさ、洗練されずに砂塵巻き立つストレートなロックサウンドは、熱さと同時にニヒリスティックな冷静さも兼ね備えているように思います。このムードはベテランの余裕から来るものでしょうか。そして一口にロックンロールといっても、男気あるリフを叩き付ける 「Hasty」 に始まり、ポップでロマンチックな 「Stars, Stars, Stars」 、緩やかなグルーヴの上でギターが轟々と唸りを上げる 「Cyan」 、ブルージーな憂いがサラリと流れる 「Spider In My Hair」 といった具合に、曲毎に微妙に色合いを変えているのはさすが職人といったところ。シンプルなようでいて実は芳醇、というのは充実した経験とインプットを持つ彼らだからこそ成せる業だと思います。

Rating: 7.7/10


OWL

OWL

そしてこちらが同時発売のもう一枚。


上の 「HOWL」 とは対照的に、茫洋としたサイケデリックサウンドが揺蕩う4曲70分弱。微妙にサウンドの質を移ろわせながら、行き先の無い不確かなセッションが長尺に渡って繰り広げられるという、こっちはこっちである意味ヤマジの嗜好がモロに反映された内容。気まぐれに挿入される歌声も微睡みに拍車を掛ける。しかしここでもやはり職人の妙技は光っています。普通に考えれば冗長だったり頭でっかちだったりで敷居の高い内容になりそうなものですが、鳴らす音とグルーヴが醸し出す本能的な心地良さを最優先にしてる感じで、実験性云々といった小難しさではなくシンプルに響いてくる。いわば浜辺のさざ波のようなもの。だから3曲目 「Flow That Crown」 なんかは20分以上あったりするけどあんまり肩肘張らずに聴ける。そして 「9souls (trek)」 も28分。こちらは過去曲のリメイクということで、原曲の瑞々しい疾走感から少しばかり力が抜け、しなやかさが加わって恍惚感は数割増し。両極に振り切れた彼らのクリエイティビティは今なお有効です。

Rating: 7.5/10