マキシマム ザ ホルモン 「予襲復讐」

予襲復讐

予襲復讐

6年4ヶ月ぶりとなる5作目。


思えば以前から、ホルモンは歌詞を読むべきバンドでした。亮君の頑なで偏屈とも言える 「ロック」 主義に基づいたメッセージを、独自の文法で流暢にサウンドに乗せる。配信レンタル一切禁止で、インタビューや漫画までブックレットに乗せて、とにかく力技で歌詞の内容を理解させようとする、この強い信念に貫かれた姿勢こそがファンの質を熱狂的に高めている所以なのでしょう。自らの内に眠る怒り、劣等感、リビドーといったドス黒い感情を彼らは 「中坊」 あるいは 「白帯」 と表現し、原動力にしています。すでに30を超えた 「大人」 になり、大型フェスのメインステージで数万人を動員する 「黒帯」 になったにも拘らず。その自分自身の矛盾に対して彼らは今作で真っ向から挑み、 「牙はまだ生えておる」 と吠えています。その苛烈なほどのストイシズムが楽曲の図太いヘヴィネスと強烈なキャッチーさをさらに強固なものとし、その濃密な質量は自己記録の更新に成功。試しに今作聴いた後 「ぶっ生き返す」 聴き直したら何だか薄味に感じられてしまう。とことん手を抜かない彼らの流儀が土石流のごとく襲い掛かる15曲。もう聴いてて笑えるやら泣けるやら。

Rating: 9.5/10