Goldfrapp 「Tales of Us」

Tales of Us

Tales of Us

3年半ぶりとなる6作目。


Goldfrapp には2つの顔があります。1つはキッチュで煌びやかな装飾が施されたシンセポップ。もう1つはアンビエント的音響空間が包み込むダウンテンポエレクトロニカ。アルバム毎にそれらの路線をスイッチして聴き手を翻弄する彼女らですが、今作は後者。デビュー作の 「Felt Mountain」 以来となるトリップホップ由来のダークネスと、 「Seventh Tree」 で見せていたフォーキーな暖かみが混在した、何ともたおやかで美しく、幻想的なサウンドスケープが広がっています。 Alison の可憐な歌声が重層となってシンセやストリングスと同化する 「Jo」 、ドラマチックな悲愴感が徐々に大きな波を作る 「Drew」 、濃密な霧のようにレイヤーが折り重なって緊張感を生む 「Thea」 など、簡素に人の名がタイトルに冠せられた10曲。個人的には 「Seventh Tree」 で彼女らを知り、その音の優しさ、心地良さに惹かれた身なので、ポップ路線も良いのは良いけどやはりこちらの方向性でこられた方がグッとくる。麗しく上品な Alison の歌声はやはりこういう曲調の方が自然にマッチすると思うのですよね。

Rating: 7.8/10