Oneohtrix Point Never 「R Plus Seven」

R Plus Seven [輸入盤CD / 豪華デジパック仕様] (WARPCD240)

R Plus Seven [輸入盤CD / 豪華デジパック仕様] (WARPCD240)

ブルックリン出身、 Daniel Lopatin によるソロユニットの2年ぶり4作目。


シュルレアリズム。以前は空間を覆い尽くすドローンノイズであったり、アンビエントミニマルテクノの融合だったりしましたが、今回はますます無軌道な、曲展開が全く予測できないコラージュ作品と化しています。深遠な奥行きを与えるシンセサウンドからは何処かノスタルジックな感覚を覚え、乱雑にブツ切りにされた声のサンプルからはそこはかとない不安、混乱、あるいは恐怖といったイメージを植え付けられる。例えばサルバドール・ダリの絵のように、取り上げる題材のひとつひとつは無機質で不可解、なのにそれらが集合すると圧倒的なまでの意味/感情を見せつける、その凄みが今作にも備わっているような気がします。1曲の中でいくつもの音が蠢いては豹変する 「Americans」 、ある種ポップで優しい音像の裏にそこはかとない闇を感じさせる 「Zebra」 、何処かニューエイジにも通じる幻想性を孕んだ 「Along」 、うっかり先に見てしまった MV が頭に焼き付いて離れない 「Still Life」 など10曲。今作から Warp に移籍したとのことですが、このサウンドの根底に潜む悪意、陰湿な変態性はそれこそ Aphex Twin に比肩する勢い。

Rating: 8.9/10