bloodthirsty butchers 「youth (青春)」

youth(青春)

youth(青春)

3年8ヶ月ぶりとなる13作目。


地響きのごとくドラムがドカドカと唸りを上げ、ささくれ立った音で凌ぎを削り合うギターサウンドは渦を巻く嵐のよう。そんな天変地異の最中にあるような荒々しいアンサンブルでも、中心のヴォーカルはそれらに視界を遮られることなく、真っ直ぐで力強く、腹の底から声を大にして叙景、叙情を歌う。それぞれのパートがやりたい放題に喧しい音を鳴らしてるのに、それらがひとつの塊になると不思議と乱雑ではなく、むしろ包容力のような暖かな心地良さを感じるという。このバンドマジックはさすがブッチャーズと言った所。そして今回驚くくらい突き抜けてポップなのですね。もちろんヒットチャートを狙うような派手さではありませんが、ポジティブな明るさの中にもいぶし銀の哀愁をジワリと滲ませる、ブッチャーズらしい男気あるメロウさが全編に満ちており、思わず涙腺も緩んでしまう。そのメロディをなぞる豪快な歌唱は、笑いも涙も全て受け入れようとする正しく 「青春」 そのもの。その凛とした立ち姿には一切の迷いや屈託などなく、何ひとつ曇らせない太陽のような輝きを眩しく放っています。青春を最後まで全うしたまま吉村秀樹は去っていきました。

Rating: 8.5/10