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downy 「無題」

downy 第五作品集『無題』

downy 第五作品集『無題』

9年ぶりとなる5作目。


長い downy の不在の間、 downy に代わる存在は一組もいませんでした。そして今、 downy が自らの空いたピースを綺麗に塞ぐ形で眼の前に在ります。前作の硬質に研磨収斂されたハードコアサウンドを引き継ぐ強烈なアグレッションがあり、様々な音色が空間的に変幻するギターサウンドのポストロック的インテリジェンスがあり、ダビーな音響処理の恍惚と陶酔があり、青木ロビンによる文学的詞世界と独自の歌声がある。すなわち downy が異形であるための必要不可欠な要素が全て揃っています。それまでの音楽的実験/変遷の集大成であり、そこからネクストステップへ到達しようとする凄み、貫禄すら感じられます。ではそのネクストたる新しい試みは何かというと、かつてないほど 「歌」 を強調してる部分があります。言葉を崩してサウンドの一部となるように意識された歌唱法は変わらずですが、例えば 「下弦の月」 では茫洋とした月と海の情景、そこに漂う密やかな慕情が狂おしく歌われています。この感情の入りっぷりは驚きと同時に琴線を震わせる説得力を感じさせる。 downy を超えるものは downy 自身のみ。

Rating: 9.3/10