OGRE YOU ASSHOLE 「ペーパークラフト」

約2年ぶり6作目。


「homely」 「100年後」 と最近は実験的な作品が続いている彼らですが、今作でさらにその異形さを突き詰めています。70年代サイケデリア/クラウトロックのミニマルな恍惚と、 AOR のスウィートでメロウな感覚。この2点のみに焦点を合わせ、それ以外はバッサバッサと殺ぎ落とす。バンドサウンドならではの肉体性など、必要最低限どころか普通のバンドにとっての最低限の部分すらも。その代わりにフルートやサックスであったり、ギターをギターと見なしていないような素っ頓狂な音があちこちに。彼らのインタビューの中で 「笑えるかどうかが基準」 といった発言がありましたが、もちろん一発ギャグみたいな分かりやすいネタではなく、異物感や居心地の悪さなど不条理な感覚を追求し、得体の知れない気持ち悪さが受け手のキャパシティから零れた瞬間に現れる笑い、と言いましょうか。そのくせ 「ムダがないって素晴らしい」 なんかは至極真っ当なグッドメロディだったりするから性質が悪い。ますますドライで無機質になりながら、ほんの少しの甘味がふわりと。彼らのコアな部分がますます純化されて表出した傑作です。

Rating: 8.5/10



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