Grouper 「Ruins」
- アーティスト: Grouper
- 出版社/メーカー: Kranky
- 発売日: 2014/10/28
- メディア: CD
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今作は2011年にポルトガルで録音された作品とのこと (ラスト 「Made of Air」 のみ2004年録音) 。前作 「The Man Who Died in His Boat」 もそうでしたが、自分の中で機が熟したと思う独自のタイミングがあるのでしょうか。しかしながら彼女の作品はそんな経年で劣化するようなものではなく、むしろ時代に依らない普遍性が今作にはあります。内容は極々シンプルなピアノ弾き語りがメイン。所謂ドローンノイズの類ではなく、周囲の環境音を含めたナチュラルな音の鳴りがそのまま収められており、か細い歌声も含めてひどく繊細かつ濃密な空気感。誰も居ない部屋に夕暮れの鈍い光が差すようなノスタルジックな情景が想起され、自然とその音の中に没頭してしまう。特に 「Lighthouse」 は慈愛とも言える深い感情が表現された、ささやかながら感動的な一曲。美しい記憶の断片を音にして繋ぎ合わせた、その作品が残骸あるいは廃墟という、打ち捨てられて二度と帰らないものという風に名付けられるのは、音の優しさとは裏腹にある意味ひどく残酷な作品にも思えますね。唯一のノイズ・アンビエント曲 「Made of Air」 はその残酷さを一層引き立てているような気も。
Rating: 8.4/10
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