清春 「poetry+2」 「MELLOW+2」

poetry+2

poetry+2

2004年に発表された初ソロ作の、ボートラ追加&リマスター再発盤。


実のところ、黒夢後期からリアルタイムで追いかけ続けていた俺の心が離れ出したのは SADS 後期あたりからでして、長期ツアーからのメンバーとの確執を経てバンドが消滅、という流れに辟易した思いを禁じ得なかった俺はソロ期の清春をまともに追っていなかったのでした。あれから10年経ち改めて対峙した今作。豪華なサポート陣を迎えて制作されたにも拘らず、むしろ清春のパーソナルな部分が前面に出た内容になっています。イエモンブランキーの系譜を受け継ぐ国産ロックンロールの側面もありますが、彼のバックボーンのひとつであろう昭和歌謡/フォーク的な要素が表出し、モノクロームの郷愁や寂寥を強く感じさせます。これは俺の憶測ですが、バンドへの幻想を抱き続け、最終的にはそれが全て破れてしまったが故の喪失感、失望感が全体に滲み出ているようで、とにかく暗い。周囲を霧に覆われたような茫洋とした雰囲気に包まれており、それが彼のヴォーカルの魅力を、皮肉にも引き出しているように感じます。特に 「オーロラ」 や 「飛行船」 での絶唱など、今になって聴いた方が味わい深いですね。

Rating: 8.3/10



清春 Kiyoharu - Aurora - YouTube




MELLOW+2

MELLOW+2

2005年発表の2作目。上と同様にボートラ追加&リマスター再発。


ここから清春ソロにおいて主要な役割を担う三代堅のカラーが色濃く表れてきます。 「MELLOW」 というタイトルとは裏腹に前作での憂鬱な空気はいくらか晴れて、全体的にインダストリアル/デジロック要素が導入されており、そこに THEATRE BROOK の面々などによる生演奏のロックンロールが噛んでいくという新たな方向性を提示しています。特に序盤の 「COME HOME」 「BUNNY SMILE」 といったアッパー曲の連発は何処かしら吹っ切れた印象を受ける。その方向転換すること自体は良いと思うんですが、この三代堅によるデジタル要素というのがどうも中途半端なものというか、先鋭的というよりもむしろ古臭いと感じてしまって好きになれないんですよね…。まあ清春の作品にテクノ方面での目新しさを求めてもしょうがないんですが。その一方で明らかに 「少年」 「忘却の空」 の後釜を狙った 「LAST SONG -最後の詞-」 が例によっていびつな存在感を放っていたり、 「蝶」 「影絵」 といった前作からの流れを汲む楽曲もあったりと、全体的にどうも試行錯誤な感が拭えない。過渡期的な作品ですね。

Rating: 6.7/10



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