DIR EN GREY 「ARCHE」

ARCHE

ARCHE

3年4ヶ月ぶりとなる9作目。


複雑怪奇極まっていた前作から打って変わって大幅な歌メロの復活、また長くとも5分台に収められた楽曲構成。そういった方向性の転換には sukekiyo での経験がフィードバックされたせいもあるだろうし、多かれ少なかれ原点回帰的な意識もあったかと思います (それがアルバム表題の 「根源」 に繋がるのかは分かりませんが) 。ただ確実なのは単なる過去の焼き直しなど一切ない、常に変化/革新を続けてきた DIR EN GREY の最新型がここに詰まっています。ハイトーンヴォイスを最大限に生かしたメロディの美しさ、艶やかさ。それが従来のプログレ/デス/ブラックメタル要素と組み合わさって、より一層強靭さと深遠さを増したアンサンブル。冷たくも優しく、おどろおどろしくも儚い、彼ら独自の幽玄の世界が全16曲のボリュームで描かれています。 「濤声」 「空谷の跫音」 といったスロウ曲はもちろんのこと、 「Midwife」 や 「The inferno」 といった攻撃曲でも息の詰まるような重苦しさばかりではなく、以前よりもイマジナティブな広がりが生まれているように思います。ひどく野心的でありながら、メロディに根ざした彼らの本質もくっきりと浮かび上がった傑作です。

Rating: 9.3/10



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