Mogwai 「Rave Tapes」

Rave Tapes

約3年ぶりとなるフルレンス8作目。

割と謎なタイトルの多いモグワイですが、今作も当然レイブカルチャーに急接近したわけではなく。個人的には 「Rock Action」 「Happy Songs for Happy People」 あたりの質感に回帰しているような印象を受けました。ギターとシンセを駆使した様々なサウンド・テクスチャーが幾重にも重なり、荒涼とした冷たさやジワリと染み渡る暖かさを感じさせるポストロック。ただ初期の頃に特徴的だった荒々しい轟音は鳴りを潜めており、音同士の隙間も多いです。それぞれの音がクリーン/ラウド/ファジー/ソリッドなどの独立したニュアンスを持ち、それらが空間的なパズルのように組み合わせられることで成り立つ緻密なサウンドスケープ。そうして結果的に生まれる楽曲は全体的にポップな感触があり、ノスタルジックな哀愁を含んで柔らかく耳に馴染み、ゆっくりと意識を惹き込んでくる。彼らとしては手堅いアウトプットと言えるかと思いますが、単なるマンネリズムではなく彼らの核となる部分を素直に打ち出した、純粋な質の高さを追求した感じで好感が持てます。成熟〜豊潤のタームに入った彼らならではのプロ仕事。

Rating: 7.8/10