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銀杏BOYZ 「光のなかに立っていてね」 「BEACH」

光のなかに立っていてね *通常仕様

光のなかに立っていてね *通常仕様

9年ぶりとなる3作目。


9年前のアルバム2枚で何も残らないくらいにその衝動を吐き出し尽くした彼ら。フォロワーは勿論おそらく本人達にとっても越えられない壁となったであろう前作を、それでも越えるために想像を絶する程の産みの苦しみがあったことは、峯田以外のメンバー全員が脱退したことからも容易に想像がつきます。前情報通りかつての青春パンクバンドの枠は崩れ去り、カオティックに乱れ飛ぶハーシュノイズと打ち込みシンセの嵐。そういった音楽性の変化はあっても、彼らの表現の根源は何も変わっていないことも、ノイズの激しさと同時に痛烈に伝わってきます。そもそも自分はノイズを 「過剰に肥大した情報量の凝集」 と捉えているので、エクストリームな感情表現を目指す彼らがノイズを選択するのは実に自然なことだと思います。そしてそういったグシャグシャの音像の中でも、体液撒き散らしエモーションを暴走させる峯田の歌声は常に明確に浮かび上がっています。それは精神的な意味ではなく単純にミックス的にヴォーカルが強調されているのですが、ノイズの前衛性に酔い潰れず、伝えたい言葉とポップネスを確固として持つ彼らの矜持ゆえではないかと。大正解の傑作です。

Rating: 9.3/10




BEACH

BEACH

2008〜2011年の音源を元としたライブ・リミックスアルバム。


こっちは本当にドシャメシャ。何十年も前のカセットテープのブート音源みたいな劣悪音質に加え、それを一切整理する気が無いどころかより一層加速させる無軌道ノイズコラージュ。もはや不良品じゃないかと真剣に疑うレベルで、まともなライブアルバムを期待した御仁は激昂ものでしょう。まーでも彼らがまともなバンドじゃないことは前から分かってることだしねえ…。自分は9年前の全国ツアー時に一度だけ彼らを見に行ったことがあるんですが、峯田は目の下にクマを作って声帯腫らしまくり、まともな演奏は二の次三の次でとにかく衝動を表に出すことしかしない、実に彼ららしい感動的なステージングだった記憶があります。この録音の劣悪さとそこまで大差ないような気もするな (笑) 。しかし改めて聴いても名曲の多いことよ。思春期の情けなさがすべて詰まった 「SKOOL KILL」 、もはや清らかさすら感じる 「駆け抜けて性春」 などはノスタルジーも含めて思わず涙腺が緩んでしまう。かつての青春時代まで時間を巻き戻すことはできないから、せめて思い出はなるべくそのままの形で残して、そっと棚にしまっておきましょうという彼らなりの優しさ。

Rating: 7.6/10