Tara Jane O’Neil 「Where Shine New Lights」

Where Shine New Lights

Where Shine New Lights

シカゴ出身のシンガーソングライターによる、5年ぶり7作目。


全編がアコースティック/エレクトリックギターの弾き語りという点は変わっていませんが、今作でますます独自の世界観を深めているように感じました。以前にも見せていたサイケ/ドローンのディープな音響処理がさらに比重を増しており、 Slowdive かと思うほど輪郭がぼやけた実験的な音作り。ヴォーカルもそれに伴って空気の中に溶け入るような柔らかさとなり、静謐な雰囲気の中にひどく濃密で清らかなサウンドを展開しています。アルバム表題には 「新しい光」 とありますが、ここでの光とは太陽のような絶対的で力強いものではなく、きっと部屋の中で揺らめく小さな蝋燭の光。暖かみと同時にふとした拍子で消えてしまいそうな脆弱さや、内省的でナイーブな感覚が全編に通底しています。また 「Over. Round, In A Room. Found.」 「Bellow Below As Above」 などで醸し出される不穏なムードは光の周囲に潜む影まで表現されているようで、そのニュアンスに富んだ楽曲群はシームレスなアルバム構成も手伝って意識を強く惹き込んできます。寒さが一層厳しくなる今の季節に合いそう。

Rating: 7.6/10