Cocco 「パ・ド・ブレ」

パ・ド・ブレ

パ・ド・ブレ

前作より約3年半ぶりとなるミニアルバム。


あまりにも悲痛な叫びに満ちた暗黒のデビューから、活動停止、そして闇を振り払った活動再開後の期間を経て、今のこっこには本当の意味での力強さが宿っているような気がします。サウンド的な激しさはほとんどありません。アコースティックギターやピアノのシンプルな弾き語りを主とした、緩やかなポップソングばかりが6曲。リコーダーや合唱が添えられた 「花明り」 や、 「チューリップ」 の一節が挿入された 「東京ドリーム」 などは遠くへ馳せる郷愁と優しさがあり、冷たい夜空を彩るクリスマスソング 「キラ星」 のような異色曲も。いずれにしてもこっこの歌は何処か落ち着いていて、しかし背筋を伸ばして目線を前に向けるようにして、しなやかで凛々しい歌を聴かせてくれます。クセのない澄んだ声質でありながら、これ見よがしのパワフルさではなく、強い雨風に曝されながらも花弁を開く、小さな草花のような力強さ。これまでの経験があってこその存在感、歌に込められた説得力がひしひしと伝わってくる。その 「真摯さ」 という本質はもしかしたらデビュー当時から少しも変わっていないのかもしれません。

Rating: 7.6/10