ゲスの極み乙女。 「みんなノーマル」 / indigo la End 「あの街レコード」

2012年結成の4人組による、メジャーデビュー作となるミニアルバム3作目。


ヒップホッププログレバンドを自称しておるわけですがこの辺はまあシャレで、ファンキーなバンドサウンドにクラシカルなピアノが乗っかり、その上をハイトーンの早口ヴォーカルがスルスルと滑っていくというニッチな代物。以前ライブで見た時はそのクラシカル要素の取ってつけた感、あとバンド名にも表れている斜に構えた色モノ感に対して寒さを覚えてしまったのですが、今作ではその各要素が上手くブレンドされており、纏まりが良くなってバンドとしての前進を感じさせます。全体的にブルーな哀愁がうっすら流れていますが、その中でジャジーな感触の 「パラレルスペック」 、ドラマチックな流麗さが特に映える 「市民野郎」 、ニューウェーブ/ポストパンク的側面を強く打ち出した 「song3」 と微妙に表情を変え、演奏力の巧みさをアピール。その上でサビはきっちりキャッチーに仕上げるという隙のなさ。最近の若手の傾向として何かとコミカルにヒネりたがるバンドが多いと思うのですが、彼らはその有象無象から頭一歩抜けましたね。いずれ出るであろうフルレンスでのブレイクスルーに向けて、基礎作りはこの時点で十分な仕上がりです。

Rating: 7.7/10




2010年結成の4人組による、同じくメジャーデビュー作となるミニアルバム3作目。


こちらは至って真っ当なフォーピース編成の、至って真っ当な下北系ロキノンギターロック。爽やかで切なく、素朴で明快。なおかつクセのあるハイトーンが耳に残るフックを備えてるという、最近で言えばクリープハイプKANA-BOON なんかの系列にそのまま繋がる感じ。上のゲス乙女でもフロントマンを務める川谷絵音の中では、この2つを同時に演ることでバランスが取れているのでしょう。何よりも歌詞とヴォーカルを聴かせる作りで、ゲス乙女でも発揮されていたキャッチーなメロディセンスはこちらでも発揮されており、総じて高いクオリティは維持されています。特にスロウテンポの 「染まるまで」 なんかは単純に良い曲。しかしながら 「billion billion」 では初期 ZAZEN BOYS を彷彿とさせる鋭く捻じれたギターリフ、複雑なテンポチェンジをこなしていたり。ストレートと変化球、各々のバンドがどちらかに振り切れているというわけではなく、あくまで配分の差異なのだなと。どうせなら極端に分けてしまった方が彼の持つ二面性が際立って良いのではないかと思うのですが。良い具合に成長を遂げているゲスに比べると、いささか中途半端な印象を受けました。

Rating: 6.7/10