COPASS GRINDERZ 「Kr/A/sH!」 / Co/ss/griNDErZ// 「rock'n'roll」

Kr/A/sH!  ≪音圧鬼盤≫

Kr/A/sH! ≪音圧鬼盤≫

吉村秀樹、名越由貴夫らを擁する4人組による、96年発表の初フルレンス。


今回 「音圧鬼盤」 と銘打ってリマスター再発されたこの2枚ですが、その名に偽りなく鬼気迫る爆音が再生した瞬間から雪崩れ込んできます。トリプルギター+ドラムスという変則的な編成から放たれるのは、とにかくノイズ/ディストーションの攻撃性に拘った破壊的ハードコア・ロックンロール。ゴリッゴリのジャリッジャリに歪まされたギターノイズが渦巻き、忙しなく転げ回るビートに乗せて身体を芯から突き上げてくる。 ZERO の常に激しくがなり立てるヴォーカルもハードコアそのもので漢気に貫かれています。しかしただ耳障りなばかりではなくロックンロールとしてのフィジカルなグルーヴ感も全編に充満しており、肉汁詰まったステーキのごとくコクと旨味たっぷり。特に冷めたポップ感も添えられた爆裂ダンスナンバー 「MONGOOSE」 や、コミカルかつストレートに毒を撒き散らす 「OGRE」 など痛快極まりなし。また神秘的なエキゾチシズムを薫らせるクワイア 「LOST」 から狂気的ドゥーム/スラッジ大曲 「血まみれ」 への流れなど、もはや時代を先取りしすぎてたとしか思えない。邦楽ロックの核の一部。

Rating: 9.0/10

rock'n'roll ≪音圧鬼盤≫

rock'n'roll ≪音圧鬼盤≫

そしてこちらは97年発表の2作目にしてラスト作。


上の 「Kr/A/sH!」 と同様に気合い入りまくりの爆音が続きますが、実験的な飛び道具も交えたりと手を広げていた前作に比べると、一層ロックンロールの枠に拘ったストレートな曲調に絞られており、ますます辛辣な作品となっています。砂塵を巻き上げながらドライブするグルーヴを纏い、スパルタで鍛え上げたギターサウンドをブッ刺す。最近の洗練されたヘヴィネスやスポーティなスピード感では出せないであろう、血やら汗やら唾液やらが聴いてる側にまで飛んできそうな異様な生々しさ。レイドバックしたノリが逆に凄みを感じさせる表題曲 「rock'n'roll」 に始まり、 Neil Young の肖像に吐瀉物ブチ撒けたような怪カヴァー 「Hey Hey, My My」 までは飛ばし続け、本編ラストの 「ANSWER (SUPER STAR)」 はハウリングノイズの中に寂寥、荒涼、激情を密度濃く詰め込んだスロウ曲。聴いてるだけで骨身を擂り鉢でミンチにされてるような気分になる。個人的には前作の方が好みでしたが当然こちらも聴き応えアリアリ。2枚合わせてボーナストラックまで聴けばもうしばらくは轟音要らなくなること請け合いです。

Rating: 8.4/10