Clap Your Hands Say Yeah 「Only Run」

Only Run

Only Run

2年9ヶ月ぶりとなる4作目。


いつの間にかフロントマン Alec Ounsworth のソロユニットと化していたようで、音の方も力強くオープンな印象のあった前作からまた様変わりしています。ダビーな音響処理を施されたシンセサウンドがメインを占め、ミステリアスで内省的、場面によっては密室的な閉塞感をも感じるダークな内容となっており、 (実際はどうなのか分かりませんが) いかにも宅録といった印象が強いです。タイトル曲 「Only Run」 などは The Cure 「Forest」 あたりの冷ややかさを彷彿とさせるし、バンドサウンドによる 「Coming Down」 にしても刺々しい毒の要素が強調されており、以前のような暖かみではなくドライでソリッドな感触。コレで手を叩きセイイエーというのはなかなか難しい…しかしながら Alec の裏返りがちな頼りない歌声であったり、牧歌的なメロディに滲み出る人懐っこさ、その本質の部分は今でも残されています。特に昏睡の中で見るパレードのような4つ打ち曲 「Little Moments」 などを聴けば、彼のメロディメイカーとしての優れた技量が伺えると思います。いささか小さく収まってしまった感はありますが、彼の核を曝け出したローファイポップとして面白く聴けるかと。

Rating: 7.4/10