BO NINGEN 「III」

III

III

2007年結成の4人組による、2年ぶり3作目。


以前楽曲を試聴した時は、サイケな和装におかっぱ長髪という強烈なヴィジュアル含めて 70's プログレ・ハードロックの要素が色濃いと感じたのですが、今作ではまた別の様相を見せています。ディストーション成分が全体的に減退し、空間系エフェクトを多用してミステリアスな奥行きを構築しつつ、前のめりで荒々しい演奏が初期衝動を突き刺す。その知性と攻撃性が一体と化した楽曲群はちょうどニューウェーブ/ポストロックからの影響が強く表れています。頭のてっぺんから出してるような奇声が飛び交う歪な疾走ナンバー 「DaDaDa」 に始まり、表題通りドラッギーで幻惑的なサウンドが大きく口を開ける 「Psychedelic Misemono Goya」 、 Jehnny Beth (Savages) 参加でより一層ドス黒い気を吐きながら辛辣なメッセージを叩き付ける 「CC」 、9分に渡るアンビエント・ノイズの重層が地獄の淵へ迷い込んだような気にさせられる 「Mukaeni Ikenai」 など、アシッドな音像が孕む中毒性やダークな緊張感とともに、何物とも違う個性を目指すためのひり付くような痛みが剥き出しになった全10曲。

Rating: 7.4/10