syrup16g 「HURT」

Hurt

Hurt

6年7ヶ月ぶりとなるフルレンス7作目。


基本的に 「やる気」 だとか 「勢い」 といった単語からは縁遠い彼らですが、周囲の大きな期待に支えられての再始動というのはどうしても力が入りがちになるもの。この作品にも幾らかそういった様子が見受けられます。全体的にラフな荒々しさが強まり、ビルドアップされた音作りは 「coup d'Etat」 を彷彿とさせる部分もありますが、 「幽体離脱」 のようなメロウでサイケデリックな楽曲はなく、緩急をつけながらもアップリフティングなテンションは途切れさせない構成。 「Stop brain」 「ゆびきりをしたのは」 などのアッパーチューンでは従来の彼ららしさを打ち出し、その一方で全くシューゲイザーではない枯れた味のシャッフル 「哀しき Shoegaze」 、70年代ディスコ/ファンク要素を取り入れた 「メビウスゲート」 あたりでは珍しい側面も見せる。いずれにしても心の風邪が完治しきっていない気怠さ、鬱っぽさ、転じてそこからのヤケクソ感が全体に共通していて、ああシロップはこうだったなって。 「生きているよりマシさ」 と 「旅立ちの歌」 が共存してる辺りも人間臭くてリアルな感ありますよね。初聴きの取っつき悪さも相変わらずですが、リハビリ一発目としてはまずまずかと。

Rating: 7.1/10