堀江由衣 「ワールドエンドの庭」

約3年ぶりとなる9作目。


そのキャッチーさ故に至る所で使い古され、もはや辟易、失笑の対象にすらなりかねない 「世界の終わり」 というモチーフ。自分も過去にはこの終末的世界観に魅了された覚えがあるだけに、その氾濫っぷりにはあまり良い気はしていません。表現される 「世界」 は文字通りの地球全体でもいいし、半径数メートル圏内の矮小なセカイでも構いませんが、絶望から希望、残酷から甘美までを内包するこのコンセプトが、本来持ち合わせていたいた濃密なロマンティシズムを取り戻す、その復権はこのアルバムから始まると自分は信じます。儚さや麗しさの裏側にスプーン一杯の毒も織り交ぜた名曲 「The♥World's♥End」 を主軸とする13曲。正統派バンドサウンドによるアッパーな楽曲が多くを占め、前作 「秘密」 よりもさらに的の絞られたコンセプチュアルな作りとなっています。基本的にはほっちゃんの Kawaiiness に沿ったライトなポップスが並ぶ中、要所要所で異様な密度を発揮している清竜人の楽曲がキー。 「ミステリー…」 「Girl Friend」 など、アンビバレントな感情に揺れながら破滅へとひた走る、その速度に満ちた愛情。あまりにもワールドエンドな。

Rating: 8.4/10



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