飛蘭 「-Zero Hearts-」

1年10ヶ月ぶりとなる4作目。


全17曲70分超ってまたやたらと詰め込みましたな。例えば水樹奈々茅原実里喜多村英梨といった戦闘態勢のアニソンシンガーが持つアグレッションを彼女も持ち合わせています。艶とハリ、流麗さの中に力強さを宿し、歌詞中の人物が憑依したような情感を見せるあたり、タイプ的には MELLMay’n の中間あたり、かなー。しかし代替可能というわけではなく、しっかりと芯を持って歌声を響かせるパワーを持っています。ただ彼女のアルバムは突出したキラーチューンがあっても全体的に粒が揃っていないという印象を受けていたのですが、今作は残念ながら、全曲にタイアップ付帯という盤石の体制であるにも拘らず、これといった決め手に欠ける。 Elements Garden を筆頭とする作家陣によるヒロイックな曲調は、パワフルで爽快な聴き心地ではあるものの既視感は拭えず、すでに奈々様たちが笑いの零れるほどに濃密な楽曲を出している後では、この適度な纏まりの良さというのは彼女の個性を活かす方向には働いていないと思うのですね。元来は高いポテンシャルを秘めたシンガーだと思うので、次作で起死回生の一発が来てくれれば。

Rating: 5.8/10



飛蘭TVアニメ『東京ESP』OPテーマ「東京ゼロハーツ」15秒SPOT - YouTube