Panda Bear 「Panda Bear Meets the Grim Reaper」

Panda Bear Meets The Grim Reaper

Panda Bear Meets The Grim Reaper

ソロ名義では3年9ヶ月ぶりとなる5作目。


Grim Reaper =死神。もとより彼の鳴らす音は芳醇な桃源郷のようであり、死と生の境目をふわふわと行き来するような、恐怖と表裏一体の心地良さを醸し出していました。こっちの水は甘いぞと聴き手を手招き、そのサイケデリックな音の渦にずぶずぶと沈められてしまう。今回はもう何処を切っても Panda Bear 印といった感じで、泉のごとく湧き出るシンセサウンドと緻密に重ねられたヴォーカルのハーモニーが、いつも通り極彩色の幻惑的なサウンドスケープを構成しています。敢えて言えばブレイクビーツのミニマルな反復が多いため、若干ドラッギーな高揚感が強めでしょうか。自らの名前を冠した 「Mr. Noah」 ではネチっこい毒々しさが開花し、長尺曲 「Come to Your Senses」 では微妙にクラウトロック、あるいはインダストリアル的な要素も感じられたり。もともと彼のソロや Animal Collective を聴き続けている人にとっては目新しい要素に欠けるきらいもありますが、完全に自分の作風を確立し、特にポップに寄せるわけでもなく我が道を行く姿勢には職人気質の潔さもある気がします。聴いてる人にもそのうち死神が見えてきたりして。

Rating: 7.2/10



Panda Bear - Boys Latin (Official Video) - YouTube