daoko 「Dimension」

Dimension

Dimension

1997年生まれの女性ラッパーによる、1年2ヶ月ぶり3作目。


彼女を初めて知ったのはたまたま YouTube で見た 「mizutamari」 の MV でした。丸みを帯びたウィスパーヴォイスの幼さとは裏腹に、わざわざ本格派などという言葉を出すのも野暮に感じられるラップスキルの巧みさ。しかしジュブナイルの心の闇を独り言のように訥々と吐き出す様子は、ヒップホップというより個人的にはかつてのポエトリーシンガー螢を思わせるものでした。まあ大森靖子でも相対性理論でもいいんですけど、ただ彼女の中に渦巻く感情は確かに彼女だけのもの。これ見よがしのヘヴィネスではなく、平熱のテンションで紡ぐ言葉が徐々に身体へと浸透していく、その危うさと心地良さが入り混じった感覚は本来サブカルチャーが持ち合わせていた魅力ではなかったかと。このフルレンスではオープナー 「ニルバーナ」 のように現代の Kawaiiness を消化した楽曲もあったりしますが、基本的にその表情はブルーでシリアス。でもどこか妙に達観してるようにも聴こえるし、内省的なムードを漂わせながらやたらと蠱惑的、なおかつ気を抜くと背中をナイフでサクッとやられそうな緊張感も。何故に17才はこうも人を惑わせるか。

Rating: 7.7/10



daoko 3rd Album "Dimension" 2/4発売。 - YouTube