cali≠gari 「12」

12(狂信盤)

12(狂信盤)

約3年ぶりとなる、再結成後3作目のフルレンス。


故きを温ねて新しきを知る。これは昭和歌謡やフォークをバンドの音楽性に取り入れていた奇形メルヘン音楽隊の頃から、それこそ今現在に至るまで一貫して彼らの本質を示すキーワードです。そして今作はその本質がさらに浮き彫りになり、80年代~アーリー90年代リバイバルを彼らにしか成し得ないであろう形で体現しています。相変わらずのエッジの鋭さを誇る石井秀仁のニューウェーブアサルトに加え、今回は桜井青もいつも以上に本領を発揮。輝かしくも切ない 「セックスと嘘」 や、サックスが絶妙に妖艶なムードを醸し出す 「ギムレットには早すぎる」 など、これはバブルミュージックというか北条司ミュージックというか (笑) 彼のルーツのひとつであろう平成初頭の J-POP をバンドに還元し、フレッシュな息吹を吹き込んでテン年代ロックバンドの表現として成立させています。ゲストドラマー陣によるアンサンブルの強化も効果的で、特に Tetsu の他パートに思い切り拮抗するやかましさは聴いていて痛快なほど。各メンバーのインプットがフル活用され、結果彼らの異能っぷりが過去最高に際立っているのではないでしょうか。健在、進化を証明した傑作。

Rating: 8.7/10



cali≠gari『12』トレーラー