The Monochrome Set 「Spaces Everywhere」

スペーシズ・エヴリホエア (SPACES EVERYWHERE)(直輸入盤帯ライナー付国内仕様)

スペーシズ・エヴリホエア (SPACES EVERYWHERE)(直輸入盤帯ライナー付国内仕様)

1978年結成の3人組による、再結成後としては1年4ヶ月ぶり3作目。


そもそもはポストパンク/ニューウェーブ勃興期におけるネオアコ―スティックの元祖に位置付けされるこのバンド。自分は初期の数作のみ聴いている状態ですが、デビュー作の 「Strange Boutique」 は結構な衝撃でした。軽やかで洒脱なメロディセンスを軸としながらも、何処となくエキゾチックで幻惑的な雰囲気にはこの時代特有のアヴァンギャルドな実験性が反映されており、心地良さと刺激を高いレベルで併せ持った傑作だったからです。ヴォーカルの Bid がインドのカースト最上位の出身らしく、その出で立ちがこのミステリアスな魅力に繋がっているのかなと。それから四半世紀以上の時を経ての今作は、ポップ化が推進されて随分と聴きやすい仕上がり。ジャングリーで風通しの良いネオアコポップは、それこそ Belle and Sebastian や Vampire Weekend にも繋がりそうな良質さ。しかしながら Lou ReedMorrissey を掛け合わせたような Bid の苦み走った声質はなんとも渋い味わいで、やはりただの清涼なポップスでは終わらせない奇妙なクセがある。このクセこそがデビューの頃から彼ら自身の身体に沁み込んだ、変えようにも変えられない味なのだろうなと。

Rating: 7.3/10



The Monochrome Set - Iceman (official)