踊ってばかりの国 「SONGS」

SONGS

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1年2ヶ月ぶりとなるフルレンス4作目。


たかが歌、されど歌。前作 「踊ってばかりの国」 は政治的プロテストを主とした言葉の強度により、反骨や皮肉といったこのバンドの毒々しさが激しく浮き彫りになった作品でした。しかし今作はその揺り戻しからかパーソナルな叙情/叙景的表現に再度スポットを当て、歌モノとしての普遍的な良さを目指した内容になっています。昭和歌謡に通じるふくよかで暖かなメロディは、彼らが信条とするサイケロック/アシッドフォークと抜群の親和性。 「君を思う」 「時を越えて」 など、牧歌的でイマジナティブな歌の数々は実に芳醇な味わいで、ファジーかつ緻密なアンサンブルと相まって心地良く耳に浸透する。かつて佐藤伸治を彷彿とさせていた下津光史のヴォーカルにはミッドロウの渋味も加わり、もはや大瀧詠一の領域へと肉薄する歌心。もちろんただ優しいばかりではなく 「あなたはサイコパス」 「赤い目」 のように冷ややかな毒素も残されてたり、この辺の天邪鬼な部分も一筋縄ではいかない彼ららしさですね。あと最後の 「ほんとごめんね」 だけ Dinosaur Jr. 風のオルタナティブ・ギターロック。これがまたあまりにもロマンチックでさすがに涙腺が。

Rating: 8.2/10



踊ってばかりの国『ほんとごめんね』PV(フルサイズ) - YouTube