syrup16g 「Kranke」

Kranke

Kranke

9ヶ月ぶりのリリースとなるミニアルバム。


鬱病患者は身動きすら疎ましくなるほど重度と化した状態よりも、多少和らいで活気づいた時点が一番危険だという説がありますね。表題がクランケというのはある種の自虐を込めてなのか、一息入れてやる気を出した五十嵐隆は今作においても軽快に後ろ向きです。4曲+インタールードとボリューム的にはほとんどシングルな内容で、良い感じの曲が出来たから出す、くらいのフランクなノリ。そこに特別な意味づけなどはありませんが、それでもドロリとした喉越しの悪さに定評のあるシロップ。彼ら特有の湿っぽい匂いはどうしたって拭い取れない。どうしようもなく解れていく繋がり、その儚さがさらさらと綴られる 「冷たい掌」 。ぼんやりと眺める世界へ向けて気付かれないように悪態をつく 「vampire's store」 。卑屈っぷり全開だけど夢に向かってはまだ諦めていないらしい 「Thank you」 。そして繋がることもまだ諦めてはいないらしい 「To be honor」 。よく歌詞を読むとちょっと希望を掴みかけてるのかも、と匂わせてるのがミソ。音的にはいつものシロップと何ら変わりありませんが、五十嵐が現在も絶妙な塩梅でコンディションを保ってることが伺えます。

Rating: 7.1/10



syrup16g - 冷たい掌 (MV) - YouTube