うみのて 「21st CENTURY SOUNDTRACK」

21st CENTURY SOUNDTRACK

21st CENTURY SOUNDTRACK

約2年ぶりとなるフルレンス2作目。


アルバム表題は完全に皮肉。二十一世紀という緩やかに混沌へと迷い込む時代を彩るのは、やはり緩やかな混沌の中で足掻き続けるひとつひとつの個であると。前作 「IN RAINBOW TOKYO」 の刺々しいインディ・オルタナ要素はやや影を潜め、明らかにアップリフティングなリズム、明らかなラウド感というのは数えるほどしかありません。印象的なのはクリーントーンを主体としながらさらに内省の淵へと沈む、70年代国産フォークにも通じる湿っぽい閉塞感。その感覚は前作とも共通するものですが、それが落ち着いた曲調をメインとすることで更に強調されているように思います。やはり表題が痛烈な皮肉として用いられる 「LOVE & PEACE & etc」 、ファンクの洒脱なグルーヴを生活苦が食い潰すという意味での 「生活ファンク」 、バンマス笹口騒音が多大な影響を受けたという塔和子の詩を引用した 「言葉狩りの詩」 など、苦悩や疑念、喜びや安らぎといったごく個人的な感情/視点を切り取り、継ぎ接ぎすることで現代に蔓延るムードを炙り出す11曲+α。殺伐とした演奏の中に添えられるグロッケンやヴァイオリン、サックスといったささやかな装飾も効果的。

Rating: 8.5/10



うみのて - 恋に至る病(MV) - YouTube