Muse 「Drones」

2年9ヶ月ぶりとなる7作目。


今回のアルバム・コンセプトは 「戦争による人間性の喪失」 とのこと。オープナー 「Dead Inside」 、すなわち主人公の 「内なる死」 で物語は始まり、次曲 「Psycho」 で全ての希望を失った 「狂人」 と化してしまう。そこから主人公の葛藤や抵抗が描かれ、その中には環境問題や第三次世界大戦への示唆も含まれているようです。もうね、こんな眩暈のするような大風呂敷を広げて格好のつくバンドは今やミューズくらいですよ。いやもう格好もついてないかもしれないけど、余りにも態度が堂々としすぎてて思わず肯かざるを得ない。音的には本来のロック的ダイナミズムを近作のシンセポップ要素と噛ませて、インダストリアルな質感が強く出たプログ・ポップと化していますが、いつものミューズらしく外連味バリバリ、とにかく大仰でドラマチック。随所に挟まれるシンセ/ギターフレーズがいちいち面白おかしく、途中にはフルメタルジャケットよろしく軍曹と部下の掛け合いが入るといったギャグも。まあ彼らのロック的な引き出しが 「Absolution」 で出尽くしてるんだなという切なさも変わらずですが、彼らならではのブッ飛んだセンスは腹一杯堪能できます。

Rating: 6.5/10



Muse - Dead Inside [Official Music Video] - YouTube