凛として時雨 「es or s」

es or s

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ミニアルバムとしては約9年ぶり2作目。


普段通りどのパートもひたすら手数を詰め込んだトリッキーなプレイが目立ちますが、今回はその荒々しい演奏が若干引っ込み気味で、代わりに憂いと切迫が入り混じる歌メロの方が浮き出てきてます。特に 345 のヴォーカル。 TK と 345 どちらも歌いながら血管切れそうなハイトーンを多用しており、男女ツインでありながらあまり差異はないというのが彼らの常でしたが、少しばかり物憂げなムードを匂わせる 「Mirror Frustration」 では、彼女のしっとりした歌声から色気にも似たブルーな色味が不意に感じられて、少し新たな一面を見た気がしました。しかしながら全体的には良くも悪くもカッチリ手堅く纏まった、従来の時雨のイメージに沿った楽曲で面白味に欠けますね…。例えば TK のソロや geek sleep sheep などの課外活動で培った経験をフィードバックさせてくれれば良いと思うのですが、シンプルだったりポップだったりといった回帰はあっても、大きな発展、前進にまでは結びついてないかなという印象。それとも新機軸を試すのであれば時雨以外でやるというひとつの割り切りがあるのかしら。イマイチ意義の見えづらい作品でした。

Rating: 5.4/10



凛として時雨 『SOSOS』 - YouTube