DJ KRUSH 「Butterfly Effect」

Butterfly Effect

Butterfly Effect

11年ぶりとなる9作目。


自分にとって DJ KRUSH と言えば SUGIZOINORAN の極初期ソロ作品における重要人物というのが一番大きく、彼の仕事を10代のうちに聴いておけたのは自分のアンテナの拡大に繋がったという意味で幸福な事だったなと思うのですが、その割に彼のオリジナル作品を聴くのは今回が初という。すまん。まず驚いたのは、今でもその1997年当時の空気感が色濃く残されているということ。もちろん多彩なゲストを招いたり、昨今のダブステップやジャズ要素を取り入れたりといった探求の跡は見られるのですが、根幹の部分はおそらく変わっていません。オールドスクールなヒップホップに軸を置きつつアンビエント成分を多く含み、緊張と安らぎが交差するムードの中、深くミステリアスな美しさを描き出す。その繊細なタッチ、実験的でありつつ確かにポピュラリティも保たれたサウンドは、自分が18年前に彼の音楽を聴いた時の新鮮さをすぐさま呼び戻させるものでした。その中で一際異彩を放つのは tha BOSS 参加の 「Living in the Future」 。聴き手を諭すような優しさと厳しさをもって紡がれる、その切実な言葉の数々は猛烈な内省を促すはず。

Rating: 7.9/10


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