Giant Claw 「Deep Thoughts」

Deep Thoughts

Deep Thoughts

オハイオ出身、 Keith Rankin によるソロユニットの1年2ヶ月ぶり新作。


すでに bandcamp にて多くの作品をリリースしている彼ですが、自分が初めて聴いたのは昨年の 「DEEP WEB」 でした。主に R&B ポップスからと思しき歌声のカットアップコラージュを駆使し、何ともシュールで不気味な急進的ダンストラックを作り上げる、その作風は今までに触れた事の無い感触を持ったものでした。しかし今作ではその手のサンプリングはあっさり封印。クラシック/現代音楽的な作曲技法が用いられ、そこにエレクトロニカの理知的な空間サウンドデザイン、場面によっては微妙にファンキーなダンスグルーヴも見せるなど、前作とはまた違った新境地を開拓しています。ただこの諸要素のみを見ると何ともハイブロウな理念を持った作品かと思いますが、実際に曲を構成するのは Windows98 あたりの MIDI 音源に毛が生えた程度のチープ極まりないシンセ音。この一定以上の年齢層にしか通じないであろうある種の奥ゆかしさが、様々なコンテクストを孕んだ音楽性をひどくカルトなものに様変わりさせてるという。この掴み所の無さこそ彼が自ら作品に vaporwave とタグ付けしている所以なのかと。インターネットの底なし沼から浮かんだ怪作。

Rating: 8.5/10


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