Ringo Deathstarr 「Pure Mood」

PURE MOOD

PURE MOOD

オースティン出身の3人組による、3年ぶりフルレンス3作目。


彼らの90年代に対する憧憬は、どうやらこちらが思っていた以上に業の深いものであるようです。涼やかなネオサイケ小曲 「Dream Again」 からの野暮ったいグランジナンバーその名も 「Heavy Metal Suicide」 、そしてマッドチェスターの恍惚へとワープした 「Stare at the Sun」 。相変わらずのシューゲイザー/ドリームポップに根を張ったまま、音作りとしては重ねが減ったぶんシンプルになったかなと思いますが、ファットなグルーヴを打ち出してアンサンブル全体がタフに鍛えられ、その上でスマパンやらプライマルやらの影響を包み隠さず揚々と枝葉を伸ばしています。90年代に隆盛を極めた様々なムーブメントの総合百貨店といった感じで、もう本当に笑ってしまうくらい、ここでは90年代が生きている。もちろんシューゲやグランジなど同じようなことを演っているバンドは星の数ほどいるでしょうが、彼らほど何の屈託もなく、軽いフットワークで憧れを形にしてしまうバンドはそうそういないのでは。このストレートさはある意味音楽好きとして最も在るべき姿勢と言いますか、そこにある楽しさこそがピュアムードってことなのかも。

Rating: 7.9/10


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