YBO²「太陽の皇子」

太陽の皇子

太陽の皇子

北村昌士を中心とする3人組の、86年発表 EP 作の再発盤。


先日再発された 1st「ALIENATION」と同年リリース。この年は他にもアルバムや EP 作品を連発していたとのことで、彼らのクリエイティヴィティが沸点を迎えていた時期ですね。内容はボートラ含めて4曲、いずれも「ALIENATION」と同じ流れを汲んだプログレッシブ・ジャンク・ハードコア。まず表題曲「太陽の皇子」が某高畑勲アニメの主題歌カヴァーを含んだ3部構成の組曲。昔のアニソンならではの勇壮さがノイジーな演奏の中でやたらと際立ち、そこから怒涛のセッションへと雪崩れ込む。決して単なる原曲レイプではなく彼らなりの拡大解釈を試みているのが面白い。その裏で凄まじい存在感を見せるのが 1st の冒頭を飾っていた「Amerika」の長尺ヴァージョン。ヒステリックな爆音が勢い良く耳に突き刺さり、サイレンが鳴り響き、歌とも呻きともつかない声が高らかに木霊する。完全に音による大量虐殺。この17分に及ぶ壮絶なサウンドアメリカと名を冠するのは、鮮やかな日ノ丸を載せてあるジャケットにもコンセプト的に繋がる気がする…とか言ってると怖い人から何か言われそうなのでやめますね。フルレンス並みの濃さは十分にあります。

Rating: 8.1/10