Tortoise「The Catastrophist」

ザ・カタストロフィスト

ザ・カタストロフィスト

シカゴ出身の5人組による、約6年半ぶり7作目。


前作「Beacons of Ancestorship」は良い意味でラフな音作りや曲調の幅広さが目立っていましたが、今作はアルバム表題とは裏腹にポップで統一感のある仕上がり。初っ端の表題曲「The Catastrophist」がいきなり Kraftwerk みたいな可愛らしいシンセで始まって面食らいますが、彼ら独自のそこはかとなくジャジーで落ち着いた空気感であったり、鳴らされる音の質感、各パートの混ざり合いに気を配った音響の細やかさはやはり今作でも徹底されており、多少飛び道具的な要素が入ってもアンサンブルにバランスの失調をきたすことはない。思えば過去作においても、トータスはそういった秩序と実験のバランス感覚に異様なほど長けていたなと、長いインターバルの間で忘れかけていた(笑)彼らの魅力を再確認できます。他では珍しくヴォーカル入りで過去最高にロケンローな熱の入った「Rock On」、同じくヴォーカル入りだけどこちらは微睡みの心地良さにドップリと浸れる「Yonder Blue」といったハイライトもありますが、一番の本質が発揮された場面は中詰の長尺曲「Gesceap」でしょうか。徐々に強さを増していく雨音のようなミニマリズムの美しさ。

Rating: 7.7/10



Tortoise - Gesceap (Official Audio)