The Black Queen「Fever Daydream」

Fever Daydream

Fever Daydream

Greg Puciato(The Dillinger Escape Plan)を中心とする3人組のデビュー作。


内容は DEP 本隊のマスコアからは遠くかけ離れたエレクトロサウンド。引き締まったアタック感の刺激がインダストリアル要素を感じさせつつ、全体にはダークで淫靡なムードが満ち溢れ、その中で Greg は深い悲しみを背負い込んだように情感豊かな歌を聴かせる。ちょうど Depeche ModeNine Inch Nails を彷彿とさせる音楽性なのですが、先行曲「Ice to Never」や「The End Where We Start」を筆頭に、メロディの端々からは R&B ポップスへの意識も強く感じ取れます。それこそハリウッド映画のテーマソングに起用されてもおかしくないレベルで、センチメンタルな憂い、艶やかな色気のある歌声がダイナミックに広がっていく。DEP が悪ふざけのように見せていたポップネスとは全く趣向が違う、ヴォーカリストとしての表現の拡張を至って真摯な姿勢で試みています。クローザー「Apocalypse Morning」に至っては雲間から差す一筋の光のような明るさを僅かに感じさせる、このドラマチックなカタルシスもある意味実に映画的。少々手堅く纏まりすぎ、ベタすぎじゃないかなという気もしますが、バンドと別の魅力を打ち出すことには成功してると思います。

Rating: 6.8/10



The Black Queen - The End Where We Start