特撮「ウインカー」

ウインカー【初回限定盤】

ウインカー【初回限定盤】

約3年ぶりとなる8作目。


まず印象的なのは初期を彷彿とさせるヘヴィネスの増加。作品を重ねる毎にポップ&ライト化が進行し、前作「パナギアの恩恵」などは特に意識的にヘヴィサウンドからの脱却が図られていただけに、今作の序盤で畳み掛けてくるアッパー曲の勢いは久しぶりにガツンと来た。その後もプログレッシブかつコミカルな「ハンマーはトントン」、ドゥーミーな重厚グルーヴが圧し掛かる「人間蒸発」など、エグ味の効いたアンサンブルとカルトな詞世界の融合はかつての「Agitator」あたりを思い出しますね。異なる曲の歌詞で同じタームを用いてコンセプチュアルな繋がりを生むというのも以前のオーケンによく見られた手法だし。ただ単純に原点回帰しているわけではなく、曲自体は最近の特撮らしいポップな構成を取っていたり、アンニュイな「荒井田メルの上昇」に始まって厳かにダークな音響空間が展開される「ハザード」で締める、というのはかつて例のない実験性。話によると今回はジャムセッションから曲を作り上げたとのことで、本来のバンド感を改めて獲得したのが良い方向に作用してると思います。実に特撮らしい確かな手応えのある一発。

Rating: 7.7/10



特撮 NEW ALBUM「ウインカー」ダイジェストトレーラー