ペトロールズ「On The Road Again」 @ 梅田CLUB QUATTRO

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フジロックでの素晴らしい演奏をもう一度体験しようと思ったら、前回のツアーは気付いた頃にはチケット完売しておりまして、今回ようやくフルセットのペトロールズを見れることになったわけです。


梅田クアトロはやはりソールドアウト。しかし押し合いへし合いの過多な密度で息苦しいというわけではなく、前方でも程良いスペースが確保できてゆっくり見ることができました。客層はやや女性多め?みんなショッピングついでにふらりと立ち寄ったようなお洒落な服装の方がほとんど。当然みんな気ままに身体を揺らしつつ大人見です。ロキノンキッズやバンギャの方々が見れば噴飯ものだろうか。同じロックの括りでもここまで客層にあからさまな差が出てくるのは、今更ながら面白いことだなあとぼんやり思ったり。


定刻になると SE もなく颯爽と現れた3人。1曲目はいきなりの「Profile」。昨年の大傑作「Renaissance」の中でも一際存在感のあった名曲で、もうちょっと勿体ぶってくれよという我がままが少しだけ。ただやはり彼らの楽曲はひどく饒舌なものですぐさま惹き込まれてしまう。甘く柔らかいハイトーンが良い味のヴォーカルに加え、ソウル、ジャズ、ボサノヴァ、そこから時にはハードロックか?というパワフルさも見せる演奏。しかし余計な力は入れず、フレットの上から下までを器用に行き来し、時には歌以上に雄弁な歌心を感じさせる。純粋なスリーピース、さらに一音一音が際立つシンプルな音作りで、それ故の各パートの達者っぷりが明確にアピールされていました。


そして長岡亮介は結構派手に歌詞を飛ばしてた。頑張って思い出すまで演奏は同じ小節を繰り返すという荒業を繰り出し、客席からは思わず笑いが漏れる。また MC ではやはりキャラクターそのままのゆるゆるな会話が展開され、なんだか微笑ましい光景に。彼らが普通のフルレンスを出し、普通のツアーを敢行するまでに結成から10年かかった、というのが何となく分かる気が。力一杯盛り上げたり、ピンと緊張の糸を張るのではなく、かと言ってパーティー的な多幸感とも少し違う、良い意味で適当なゆるさ。もちろん音楽的なポテンシャルの高さは十分にあるのですが、それを趣味の延長線上のような軽いタッチで素朴に披露する、このゆるいムードが彼らならではの味なのだなあと。


アンコールラストは「雨」でした。これもアルバムの中で特に感動的なハイライトとなっていたもの。冷たい雨の中で気持ちだけが微かな熱を帯びる、とても綺麗な曲。この日はちょうど強い雨で、思えば彼らのライブにはうってつけの日でしたね。長岡亮介の個性に関しては東京事変の時点で発揮されていたはずなのに、十分には理解できていなかったその全貌を、実にしなやかに、しかしじっくりと噛み締めるように味わうことが出来ました。


<セットリスト>
1. Profile
2. ASB
3. 止まれ見よ
4. 表現
5. トンネル
6. アンバー
7. モラル
8. 湖畔
9. ホロウェイ
10. Talassa
11. Lounge Lover
12. タイト!
13. インサイダー
14. Fuel
15. Not in service
16. On your side
(アンコール)
17. Iwai
18. 雨