あらかじめ決められた恋人たちへ「After dance / Before sunrise」

大阪出身、池永正二を中心とするバンドの2年半ぶり6作目。


いつの間にかメンバー増員して7人編成となっていたあら恋。これだけの人数が揃えば人力のみで演れる幅も広がるだろう、ということで前作まで見られたテクノ/トランス要素は後退し、よりポストロック方面へと足を踏み込んだ内容になっています。パワフルで多幸感に満ちた雰囲気をそのままに、アンサンブルはよりしなやかなうねりを感じさせ、音全体がより自然で大きなひとつの塊となって聴き手を飲み込んでいく。「rise」「view」といったダンサブルな楽曲では彼らならではのレゲエの出自が色濃く表れ、その一方で優しく牧歌的な風景が轟音とともに開ける「blast」、また ROVO ばりの暴力的な高速セッションが展開される 「void」と、緩急とりどりの楽曲群がピースフルな空気感でガッチリ統一されてる。全体的にサウンドの肌理が細かくなって纏まりが出てきてるのですが、そのぶん「CALLING」や「DOCUMENT」で感じられた闇雲なエネルギーの爆発、驚きという点は少し薄まったかなと。まだこちらの耳が新生あら恋のモードに慣れていないだけかもしれませんけどね。暖かみ、柔らかさが増してオープンな印象が強くなり、新境地へ向かっているのは確か。

Rating: 7.3/10



あらかじめ決められた恋人たちへ「gone feat.曽我部恵一」MV