Heron Oblivion「Heron Oblivion」

Heron Oblivion

Heron Oblivion

サンフランシスコ出身の4人組によるデビュー作。


深い霧の向こう側からゆらりと立ち昇るギターサウンド、そして澄んだ声質が幽玄な魅力を湛えた女性ヴォーカル。70年代サイケデリック、フォーク/カントリーからハードロックまでの要素を包括し、オーセンティックゆえの渋味に満ちた古き良きロックサウンドです。土臭くいなたいアンサンブルからは人の熱の通った暖かみを感じますが、背後には常に冷たく殺伐としたムードを醸し出しており、場面によってはスロウコア/サッドコアの領域にまで差し掛かるなど、複雑なニュアンスがその味わいをより一層ディープなものにしています。また7曲44分とコンパクトな作りでありながら、その中で見せる方向性は意外なほどに多彩。「Beneath Fields」「Rama」といった長尺曲では徐々に身体を水に浸していくかのように哀愁の色合いが濃くなり、「Oriar」「Faro」では対照的にかなり豪快なブルース・セッションを展開していて驚かされる。別に洋楽コンプレックスを抱えているわけではありませんが、やはりこの手のルーツ回帰的な音楽が説得力を発揮するのはネイティブならではと言うか、根っこの部分で日本人とは感性が違うなと痛感する。懐かしくも新鮮な充実作。

Rating: 8.0/10



Heron Oblivion - Beneath Fields