清春「SOLOIST」

SOLOIST(通常盤)

SOLOIST(通常盤)

3年4ヶ月ぶりとなるソロ8作目。


現在の清春はかつてのようにあからまさにキャッチーなメロディを書くことをしない。停滞を嫌ってドラスティックにスタイルを変えることもしない。ただ決して平坦ではなかった20年以上のキャリアを経て、良い具合に使い込まれて草臥れた質感がトレードマークの艶やかな声質に加わり、歌の端々から憂鬱をさらさらと香らせる。アルバム表題は単純にソロ作品という意味の他に、相変わらず彼の内には決して他とは相容れない孤独感が在るということかもしれません。一貫してメランコリックな曲調のせいか、歌詞中には触れ合う時の温もりがありながらも、その背中は寒く、内側にある溝は依然として埋められないままでいる、そんな物悲しさをどの曲からも深く感じます。「EDEN」のジャズや「瑠璃色」の昭和歌謡なんかも、ヴィジュアル系界隈ではキャッチーなネタとしてたびたび活用されていますが、どちらも彼の歌が醸す哀感と同化し、素朴で馴染みやすく、くすんだ色の渋味をジワジワと滲ませています。この味わいはきっと彼にしか出せない。紆余曲折を経て今のスタイルに辿り着いたというより、最初から清春はこういう歌い手だったような気もしますね。

Rating: 7.0/10



清春 - 『MOMENT』Music Video YouTube Size