Explosions in the Sky「The Wilderness」

Wilderness

Wilderness

米オースティン出身の4人組による、5年ぶり7作目。


表題に据えられた「荒野」のイメージ、そこへ様々な色彩、光と影、豊かな潤いを与えるようなポストロックサウンド。そこにはマンネリ、形骸化といったイメージを彼方へ吹っ飛ばすほどの説得力、ニュアンスに富んだ表現力がありありと発揮されています。バンドアンサンブルの他にピアノ/シンセの装飾を要所に塗し、またディープな音響処理にも注意が払われ、全ての音が融和して濃密なサウンドを形成。静寂と轟音の二極端はダイナミックなコントラストではなく、丁寧なつづれ織りのように連結されて少しずつ音の表情を移ろわせながら展開していく。典型的なポストロックというよりは60年代フォーク/サイケデリックのファジーな感触も積極的に取り入れ、その上で各音が太く逞しくビルドアップされているような感覚。前衛性以上にノスタルジックで暖かなメロディ感覚が重視されており、聴いていて連想したのはポストロックの先人バンドより、むしろ Bon Iver や Father John Misty のようなインディフォーク勢でした。もちろん彼らの曲にヴォーカルはありませんが、演奏だけでも味わい深い「歌心」を感じさせる、充実の内容です。

Rating: 8.2/10



Explosions in the Sky - Wilderness