James Blake「The Colour in Anything」

COLOUR IN ANYTHING

COLOUR IN ANYTHING

ロンドン出身のシンガーソングライターによる、約3年ぶり3作目。


前2作がいずれも40分未満のコンパクトな作品だったのに対し、今回はガッツリ70分越えです。常に余白を大きく残しながら随所に仕掛けを施すサウンドデザイン、その中で深い憂いを纏ったヴォーカルはかつてより大きく感情を昂らせる箇所もあり、ますます表情豊かな手法で色濃い影を落とす。シンプルなピアノ弾き語りの「F.O.R.E.V.E.R.」、珍しくスクエアな4つ打ちで幾らかポップさが増して響く「I Hope My Life」、Bon Iver ゲスト参加で大らかな広がりを見せる「I Need a Forest Fire」等々、全編モノトーンのようでいて実は曲毎に様々な趣向が凝らされ、じっくりと丁寧にひとつひとつの歌を聴かせていく。ポスト・ダブステップの出自なだけに何かとサウンド面での目新しさを彼には求めてしまいがちなのですが、改めて聴くと彼はやはり、従来の意味においてのシンガーソングライターなのだなと。自らの歌によって伝える情感があり、フリーキーとも言えるアレンジはあくまでも歌に寄り添い、歌の輪郭を引き立てるもの。横の広がりではなくまっすぐ深部へと進路を取り、その結果17曲にまで彼なりのパッションが膨張した大作。

Rating: 7.7/10



James Blake - I Need A Forest Fire (ft. Bon Iver)