LIBRO「風光る」

風光る

風光る

97年デビューのラッパーによる、オリジナルとしては1年ぶり5作目。


今作を聴くにあたって過去の楽曲を漁ってみたのですが、ハードコアなオラオラ系でもセルアウトでもなく、そこまで目立った革新性があるわけでもない、しかしあくまで等身大のスタイルで聴かせる柔らかなフロウは自然と耳に馴染む心地良さのあるものでした。微妙にレゲエフレイヴァーを感じるレイドバックしたトラックに乗せて、日々の生活に根差した視点から繰り出されるライム。飾らない「個」であることが表現においては何より重要、という意味で彼のスタイルは大きな意味を持ち、それが評価を得ているからこそ今作に多くのゲストが集まっているわけですね。相変わらずの新宿スタイルな漢 a.k.a. GAMI との「オンリー NO.1 アンダーグラウンド」も面白いアクセントですが、今作のハイライトは少し勢いが落ち着いてリリカルな深みが増してくる中盤パートでしょう。小林勝行による人情味の熱さがジワリと滲む「花道」、そこからシームレスで繋がる 5lack 参加の「熱病」ではナイーブでアンニュイな雰囲気の中に「雨降りの月曜」のタームも飛び込む。この辺のある種ブルージーで情感豊かな描写には思わずグッときますね。風とともに人生が光る。

Rating: 7.7/10



LIBRO/NEW feat.ポチョムキン