GASTUNK「MOTHER」

MOTHER+2(SHM-CD EDITION)

MOTHER+2(SHM-CD EDITION)

88年に発表された3作目のボートラ追加リマスター盤。


前作「UNDER THE SUN」においてもメタル/ハードロックのエッセンスが色濃くなっていましたが、今作ではさらにその濃さを更新。演奏陣はさらに高度なテクニックで隙あらば速弾きを挿入し、BAKI のヴォーカルもハードコア由来のシャウトから高らかな歌唱の方へと比重が傾いてる。骨身を擦り切らせる切迫感よりもダイナミックで絢爛といった印象が強く、当時のファンの間で賛否両論が起こったであろうことは想像に難くありません。しかしそれでもカッチリ纏まりすぎず、粗削りのやかましさが表れてしまうのは彼らの血がそうさせるのか。「NECROPHOBIA」や「BLUE PETER」での良い意味で落ち着きのない肉感的なアグレッション、獣性と人間味を同時に感じさせるヴォーカルにもこのバンドならではの味がある。その一方で終曲「GENESIS~REVELATION」の耽美的で壮大な構築性も重要な新境地。この頃になると彼らがヴィジュアル系の原点と言われてるのも納得しやすいですね。特に BAKI は初期の RYUICHI などに強い影響を与えているのがハッキリと掴める。DEAD END 同様に彼らの遺伝子もまた、現在に至るまでずっと根を張り続けてるのだと。

Rating: 8.0/10