PELICAN FANCLUB「OK BALLADE」

OK BALLADE

OK BALLADE

2012年結成の4人組による、10ヶ月ぶりミニアルバム3作目。


ラフさと緻密さのちょうど良いバランスで掻き鳴らされるオルタナティブの爆音。彼らの曲を聴いているうちに ART-SCHOOLTHE NOVEMBERS の名前が脳裏をよぎる。つまりは UK PROJECT の申し子と言ってもいいかもしれません。今作ではそこに Galileo Galilei が持っていた歌声の清冽とした輝き、ナイフの切っ先のような美しさと冷たさを併せ持った歌詞世界もある。そういった影響先が透けて見えながらも、彼らならではと言えるアイディアは曲毎に多彩な形で生かされています。「記憶について」や「Ophelia」などのキャッチーで瑞々しい疾走曲がメインを占めつつ、ノイジーな爆音と狂気が堰を切って溢れ出す「for elite」「説明」、メロディの翳りが心地良く浸透するファンクチューン「M.U.T.E.」も面白いアクセント。陰と陽の両極端へとダイナミックに振り切れた方向性、それらは完全な乖離ではなく、何かの切っ掛けで簡単にシフトする感情の両面性として違和感なく共存しています。ここには音楽の形態としてのバラードはありませんが、内なる感情の激しさを詩的な表現に託して歌うのがバラードであるなら、アルバム表題は理に適ってますね。

Rating: 7.4/10



PELICAN FANCLUB - 記憶について(MV)