NOT WONK「This Ordinary」

THIS ORDINARY

THIS ORDINARY

苫小牧出身の3人組による、1年ぶり2作目。


エモーショナル・パンク。スタジオで発散される熱気、衝動を全くの加工なしにパッケージしたような、とても生々しくリアルな瞬間の記録です。とは言ってもハードコアな激しさではなく、楽曲自体は至って牧歌的なもの。90年代の泣き虫エモコアから昨今のローファイなインディロックへと繋がる文脈、その飾り気ないロックンロールの瑞々しさを彼らは汲み取っているわけです。そこまで明確なフックがあるわけではないけれど、拓かれた地平線を遠くに見る時のような寂寥、遣る瀬無さをラフな演奏でぶっ飛ばす。そして意外に単刀直入なストレートさだけに留まらず、自然なリバーブ処理や暖かみのあるコーラスワーク、突然のテンポチェンジなどのアイディアも効かせるなど細部に凝った作り。その輪郭のぼやけた音処理によって楽曲のエヴァーグリーンな輝きがより一層情感を増しているように思います。ただ、例えば大きな影響元であろう The Get Up KidsSunny Day Real Estate などの楽曲と比較すると、品の良いインディ志向がある種のブレーキになってしまってる気もする。過去のリバイバルに留まらずに、まだまだ彼らは泣けるはず。

Rating: 6.7/10



NOT WONK - This Ordinary