水曜日のカンパネラ「UMA」

前作から約7ヶ月ぶり、メジャーデビュー作となるミニアルバム。


アルバム表題が差すように空想上の生物ばかりが曲名に冠せられた、何やらコンセプチュアルな内容。収録曲の半分はケンモチヒデフミ以外の外注となっていますが、楽曲の印象はさほど変わりありません。昨今隆盛を見せているフューチャーハウス、すなわち洗練された4つ打ちダンスグルーヴに、仄かにミステリアスで妖艶なムードを纏ったトラック。楽曲の色味は全体的に統制されてコミカルさは抑えめ、常にクールな質感を保って流れるように曲が進行していくのですが、その中でコムアイの歌声はやはり異質なもの。異質と言うかまあ、滑舌の足りなさ、ピッチの不安定さ、芯の弱さ。メジャーに行っても歌のヘタウマ加減は矯正されることがないまま。ただ上手けりゃ良いってものでもなく、この微妙にトラックに乗り切れてない違和感にこそ水カンの味があるのは事実。冒頭「チュパカプラ」から「ツチノコ」へのスムーズな連打、そして比較的 EDM 要素の強い「フェニックス」などはライブでもキーの位置を占めることでしょう。しかしながら「桃太郎」や「メデューサ」など、すでに多くの秀曲を切っている後ではやや見劣りはするか。リリース急ぎ過ぎ?

Rating: 6.8/10



水曜日のカンパネラ『ツチノコ』