The Florist「Blood Music」

Blood Music

Blood Music

2012年結成の4人組による、2年2ヶ月ぶり2作目。


なにせ1曲目のタイトルが「Disintegration」っていう。彼らがどういう景色を見てるのかはこの時点で明らか。ドリームポップ/ネオアコシューゲイザー/ポジティブパンク等々、つまり80~90年代初頭あたりまでの UK の潮流へと思いっきり身を浸した耽美的ギターロックが目白押し。近い方向性としては THE NOVEMBERS や Lillies and Remains などが即座に連想されますが、彼らのリバイバリズムに対する力の入れ様はもはやそれらのバンドを凌駕する勢いです。幻想的な透明感に満ちたギターサウンドの重層、囁くようにして歌われるメロディラインの切なさ。どの曲においてもニューウェーブ思い出迷子族を導く誘導灯のような鈍い光を発しており、よくここまで研究したなという再現度の高さにはさすがに惚れ惚れする。その中で異色なのは Editors を彷彿とさせるタイトかつ淫靡な疾走チューン「Halcyon」と、何故か Deafheaven や Krallice のようなブラックメタルへと舵を切った「Marigold」。次作以降で音楽性の発展があるとすればこれらの曲がキーでしょうか。いずれにせよこの世俗からすっかり切り離された楽曲群、現実から目を背けていたい人にはうってつけ。

Rating: 7.5/10



The Florist - Disintegration