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くるり「琥珀色の街、上海蟹の朝」

Q

1年9ヶ月ぶりのリリースとなるミニアルバム。


坩堝の電圧」や「THE PIER」といった近作、そしてこの作品においても、くるりの音楽的なフリーフォームっぷりは今なお際立っているように思います。表題曲「琥珀色の街、上海蟹の朝」は久しぶりのヒップホップ、そこにラウンジ風の軽やかな感触と、フリーキーな音響面の遊び心もあり。「Hello Radio」はトラディショナルなサイケ/フォークロック、「かんがえがあるカンガルー」はみんなのうた、「Radio Wave Rock」はヤケクソ気味なもっさりブルーズ…といった具合に、楽曲ごとに様々な趣向を凝らし、ミニアルバムながら十分な密度の濃さ。ただ初期のくるりにあったサブカル大学生ノリの捻くれセンス、あるいはロックの枠組みを拡張せんとする実験性への拘り、そういった肩肘張った姿勢はここにはありません。あるのは雑多なジャンルをすっかり咀嚼して飲み込んだ後の器用な手つき。実験性を踏まえつつも純粋にグッドソングを書くというシンプルな難題に取り組み、それを飄々と達成してしまう、言わば紆余曲折を経てきたベテランならではの余裕というやつです。なんだか悔しいけれど舌を巻かずにはいられない。

Rating: 7.9/10



くるり - NOW AND THEN DISC vol.2 トレーラー